Log.i53

園芸が好きです。

JRで乗り間違えた際の対処法

この記事は5年以上前に書かれたものです。
「旅客営業規則 第6款 誤乗及び誤購入」の大きな改定はありませんが、当時と対応状況が変わっている可能性はあります。予めご了承ください。
また、当時貧乏学生だったため追加料金を払わずに済む方法を記載していますが、普通に考えて追加料金を支払ってでも、早く到着する方法をお聞きしたほうが良いのではないかと、今では思います。


本日帰省からの戻りで浜松に帰る際に、しらさぎ54号(米原行)に乗るはずでしたがその前に来たサンダーバード6号(大阪行)に間違えて乗車してしまいました。本来なら間違えるはずがないのですが、カナル型イヤホンで音楽を聞いていたため全く気付かず、誤乗が発覚したのが車掌の乗車券チェックで「この電車は米原止まりませんよ」と言われた時でした。

乗り間違いに関しては明らかに客側に落ち度がありますが、車掌に事情を説明すれば対応してもらえることがほとんどです。以前、浜松に停車しない新幹線に誤って乗車してしまい、新横浜まで乗越し扱いになってしまうところ、車掌に事情を説明したところ誤乗処理を切符に書き加えてもらうことで無償で浜松まで戻れることになりました。

しかし、今回はそうはなりませんでした…
# 状況説明が駄文長文なので面倒な人はまとめの項に飛んでください

JRの旅客営業規則 第6款 誤乗及び誤購入

(誤乗区間の無賃送還)

  • 第291条 旅客(定期乗車券又は普通回数乗車券を使用する旅客を除く。)が、乗車券面に表示された区間外に誤つて乗車した場合において、係員がその事実を認定したときは、その乗車券の有効期間内であるときに限つて、最近の列車(急行列車を除く。)によつて、その誤乗区間について、無賃送還の取扱いをする。
  • 2 前項の取扱いをする場合の誤乗区間については、別に旅客運賃・料金を収受しない。

 
(誤乗区間無賃送還の取扱方)

  • 第292条 前条の規定による無賃送還の取扱いは、次の各号に定めるところによる。
    • (1)無賃送還は、特別車両以外の車両によつて取り扱う。ただし、旅客が特別車両券を所持している場合は、特別車両によつて取り扱うことがある。
    • (2)無賃送還中は、途中下車の取扱いをしない。
  • 2 旅客が無賃送還中途中駅に下車したときは、誤つて乗車した区間及び既に送還した区間に対して、それぞれ普通旅客運賃・料金を収受する。

JR東日本:旅客営業規則より抜粋

ここでいう係員は基本的には車掌さんになるかと思います。前回、乗り間違いをした時は車掌さんが切符に誤乗であることを書き加えた上で、駅の改札などで事情を説明すれば通れますよと説明してくれました。もちろん、乗越してしまった区間の料金は第291条2項にある通り、追加で徴収されることはありませんでした。

しかし、今回乗り間違えたサンダーバードの車掌さんは乗車券チェックの際に誤乗が判明した際に、米原まで戻るにはどうすればいいか尋ねたところ、「新幹線経由で戻られるのですか?在来線ですか?」と返ってきました。追加料金を徴収されるのかと思い節約のため、とりあえず「在来線です」と答えたら、「では、京都駅から在来線経由で米原までお戻りください」としらさぎの切符に印を押して返されました。この時、誤乗処理を行ってもらえませんでした。

京都駅について今度はやはり時間もかかるし新幹線にしようと新幹線の乗り口で係員に説明したところ、京都-米原間の特急券代金だけはやはり徴収され、普通乗車券の乗越し料金についてはこの乗り口では処理できないので車内で車掌に事情を説明してください云々。

そこで今度は、新幹線のぞみ4号(東京行)に乗車して車掌さんに事情を説明したところ、その場では判断できないため、しばらくお待ちくださいと切符を持って車掌室へ。しばらくして別の車掌さん(おそらく車掌長)が現れて普通乗車券を誤乗扱いにしたことと、京都-米原間の特急券はおそらく払い戻しされないことを伝えられました。新幹線の方の車掌さんは何故こういった事態になったのか首をかしげていました。

結局のところ

浜松駅の改札で事情を説明したところ乗車券の払い戻しはやはり不可能で980円の特急券代金を無駄に支払うことになってしまいました。今回のケースではサンダーバードの車掌が誤乗であると判断しなかったために、追加料金が発生してしまいました。しかし、新幹線の車掌は誤乗であると判断したため、普通乗車券については誤乗扱いとなり追加料金の徴収を免れました。(追記3を参照)

追記

第292条1項の「(1)無賃送還は、特別車両以外の車両によつて取り扱う。ただし、旅客が特別車両券を所持している場合は、特別車両によつて取り扱うことがある。」においてサンダーバードの車掌は特別車両(京都-米原間の特急料金)の無賃送金を認めなかった可能性があります。また、マニュアルで無賃送金は在来線のみでしか取り扱えないように決まっているのかもしれません。そのため、「在来線で米原に戻るのか、新幹線経由で戻るのか」を尋ねてきたのでしょう。ここで京都経由で戻ると正直に答えていれば、無賃扱いにならない理由を説明してもらえたのかもしれません。(追記2,3を参照)

追記2

米原京都では在来線がJR西、新幹線はJR東海と別々の会社になっています。JR西の車掌の判断では新幹線に便宜乗車させることはできませんし、仮にサンダーバード車掌に「新幹線で米原に行く」と言った場合には運賃・新幹線特急料金も含めた額を払うように言われていたかと思います。

Facebookにて上記のご指摘を頂きました。管轄の違いも影響していたのかもしれません。つまり新幹線の乗り間違い・乗り過ごしの場合には、新幹線による無賃送還を認めてもらえる場合が多いが、今回のケースであれば基本的に在来線での無賃送還しか認めないようにマニュアルで決まっている可能性が非常に高いです。

追記3

営業規則に言う「特別車両券」は特急券ではなくてグリーン券のことで、特急券とは異なるとのご指摘を受けました。第291条1項に「最近の列車(急行列車を除く。)によつて、その誤乗区間について、無賃送還の取扱いをする。」とあるので営業規則においてそもそも特急券での無賃送還は行われていません。急行列車(新幹線を除く)で乗り間違えてしまった場合、無賃送還が認められるのは基本的に在来線の普通料金までのようです。

今回のケースの最適解

  1. 乗り間違えが発覚した時に米原駅ではなく乗り間違えた敦賀駅までの戻り方を尋ねる
  2. 乗り間違えた駅に戻る際に特急券を利用する場合には正直にそう答える
  3. 車掌の判断で乗り間違えた駅までを誤乗扱いとしてもらう(規約では急行での無賃送還は認められていないもののもしかしたら車掌の好意で特急券も無賃送還扱いで利用させてもらえるかも)
  4. 無賃送還で敦賀駅に戻った上で、元々の経路で浜松に帰る

サンダーバードの車掌と新幹線の車掌とで解釈が異なったのは管轄の違いやマニュアルの違いが影響しているのではないかと考えられます。また、新幹線の車掌は必ず誤乗証明を切符に手書きで記述しますが、在来線での無賃送還の場合は必ずしも切符に誤乗扱いを記述するわけではないようです。同じJRでも在来線での乗り間違い、新幹線での乗り間違いは別物として考えた方がよいでしょう。

まとめ

人間ついうっかりして乗り間違えてしまうこともあるかと思います。事情を丁寧に、そして正直に説明して車掌さんや係員さんのご好意をいただけるように祈りましょう。

  • 乗り間違いに気づいたら(できれば乗車券チェックの前に)車掌室に赴いて誤乗までの乗車経路を丁寧に説明する
  • 車掌には必ず乗り間違えた駅への戻り方(今回であれば敦賀)を尋ねる
  • 新幹線で乗り間違えた場合をのぞいて、新幹線での無賃送金扱いはよっぽど特別な事情でもない限り認められない(妊婦さんや病人、受験生なら認められるだろうか…全ては車掌の判断とJRのマニュアル次第…)
  • 特急での無賃送還も規約では認められていない(が、車掌のご好意で認められる場合もあるかもしれない…)
  • 乗り間違えは完全に客側の落ち度であり無賃送還扱いにしてもらえたらラッキー程度に思え

980円で得られた教訓

  • そもそも乗車前はイヤホンを外しておけ
  • そもそも乗車後に自分の乗った電車の行き先を確認しろ
  • トラブル時には正直に相談すべし
  • トラブル時にお金を惜しむな